Tommyball

コンセプトは「スポーツ×○○」。スポーツに関連するいろいろなものを書いていきます。

1番秋山とサード中村を頑なに変えなかった辻発彦の美学

今年1年応援し続けていたライオンズのCS敗退が決まってから、ほぼ1週間。

振り返ると、5試合のスタメンは、ほぼ一貫していた。

最終戦で外崎が6番、中村が7番になったくらいで、1~8番はほぼ固定。基本は下のオーダーだった。

1. (中) 秋山翔吾

2. (遊) 源田壮亮

3. (二) 浅村栄斗

4. (一) 山川穂高

5. (左/DH) 栗山巧

6. (三) 中村剛也

7. (補) 森友哉

8. (右/左) 外崎修汰

9. (右/左) 金子侑司

 

どんなに秋山がチャンスを作れないくらい不調でも。

どんなに中村がチャンスでランナーを返せなくても。

それでも辻監督は、この2人を信頼し、起用し続けた。

 

そこに辻発彦という男の美学を見た気がする。

 

一方で、こういうときにスパッっと選手を変えてくる監督もいる。
2005年のボビー・バレンタインや、2013・2014年あたりの原監督が、日替わりオーダーの最たる例だろうか。

時に主力選手の打順を下げたり、スタメン落ちも容赦なく行う采配が、チームをピシッと締めることもある。一方で、主力選手を最後まで信頼し、その選手が最後にいいところで一打を打つこともある。

 

結局、どちらのほうが、勝つ確率は高いのだろうか。 

当然、選手層や主力選手は、チームによって違うのだが、今回はその辺を考察してみたい。

 

<やること>

1. 2007年のクライマックスシリーズ制度設立以降に、CS・日本シリーズで連敗したチームを抽出。

2. その中で、連敗しながらも最終的にシリーズを勝ったチームを抽出

3. 2.で抽出したチームのうち、連敗後にスタメンを大幅変更 (4名前後のスタメン入れ替え or 主力選手の打順大幅降格 or スタメン降格) をしているかどうかを分類

 

1. ポストシーズンで連敗したチームの抽出

1.1. 連敗後負けて3連敗以上

〇 セ・リーグCS

2007年巨人 (初戦から3連敗でCS敗退)

2009年中日 (1勝後に3連敗でCS敗退) 

2012年巨人 (初戦から3連敗。この後3連勝して日本シリーズ進出)

2012年中日 (3連勝後に3連敗でCS敗退)

2013年広島 (初戦から3連敗でCS敗退)

2014年巨人 (初戦から4連敗でCS敗退)

2015年巨人 (1勝後に3連敗でCS敗退)

2017年広島 (アドバンテージ含め2勝後に4連敗でCS敗退)

2018年巨人 (初戦から3連敗でCS敗退)

 

〇 パ・リーグCS 

2010年ソフトバンク (アドバンテージ含め3勝1敗から3連敗でCS敗退)

2011年西武 (初戦から3連敗でCS敗退)

2012年ソフトバンク (初戦から3連敗でCS敗退)

2015年ロッテ (初戦から3連敗でCS敗退)

2017年楽天 (2勝0敗から3連敗でCS敗退)

2018年西武 (アドバンテージ含め2勝1敗から3連敗でCS敗退)

 

〇 日本シリーズ 

2007年日ハム (1勝後4連敗で日本シリーズ敗退)

2011年中日 (2連勝後3連敗、その後1-1で日本シリーズ敗退)

2014年阪神 (1勝後4連敗で日本シリーズ敗退)

2016年広島 (2連勝後4連敗で日本シリーズ敗退)

2017年DeNA (3連敗後2連勝も第6戦に敗れて日本シリーズ敗退)

 

 

1.2. 連敗後に勝利して連敗ストップ

〇 セ・リーグCS

2010年巨人 (2連敗後に連敗ストップ。その後0-1でCS敗退)

2011年中日 (初戦先取後に2連敗も、その後2連勝で日本シリーズ進出)

2012年巨人 (上記の通り。3連敗後3連勝で日本シリーズ進出)

2016年DeNA (初戦から2連敗。連敗ストップした後に負けてCS敗退)

 

〇 パ・リーグCS 

2008年西武 (アドバンテージ含め2勝0敗から、2連敗。その後2連勝で日本シリーズ進出)

2009年楽天 (初戦・第2戦と連敗後、第3戦に勝利。しかし、第4戦を落としCS敗退)

2010年ロッテ (第1戦勝利も、第2・第3戦で連敗。その後連勝で日本シリーズ進出)

2014年ソフトバンク (初戦勝利後、2連敗。第4戦に連敗ストップすると、第6戦に勝利して日本シリーズ進出)

2017年ソフトバンク (初戦から2連敗。しかしそこから3連勝で日本シリーズ進出)

 

〇 日本シリーズ

2008年日本シリーズ西武 (先勝後第2戦・第3戦で連敗。第4戦に勝利すると、その後2勝1敗で日本一)

2011年日本シリーズソフトバンク (初戦から2連敗するもそこから3連勝。その後1-1で日本一)

2011年日本シリーズ中日 (3連敗した第6戦に勝利。第7戦に敗れ日本シリーズ敗退)

2012年日本シリーズ日ハム (初戦から2連敗するも、第3戦に勝利し、その後2連勝)

2012年日本シリーズ巨人 (2連勝後、2連敗。第5戦から連勝して日本一)

2013年日本シリーズ巨人 (先勝後、第2戦・第3戦で連敗。その後第4戦に勝利。そこから1勝2敗で日本シリーズ敗退。)

2015年日本シリーズヤクルト (初戦から2連敗し、第3戦に勝利。第4戦・第5戦に敗れ日本シリーズ敗退)

2016年日本シリーズ日ハム (初戦から2連敗するも、そこから3連勝で日本一)

2017年日本シリーズDeNA (初戦から3連敗。第4戦に勝利。)

2017年日本シリーズソフトバンク (3連勝後、2連敗するが第6戦に勝利して日本一)

これを見ると、3連敗をまくって、シリーズ勝利したチームは2012年の巨人のみ。

連敗だけでも致命傷になりかねないが、連敗した際に、いかに3連敗を防ぐか、がポストシーズンのポイントになると言えそうだ。

 

今回は、DHあり/なしが変動する日本シリーズは、当然スタメンが変わるのでおいておく。CSで連敗ストップしたチームにフォーカスしてみる。

(2016年の日本シリーズが良い例で、第1戦・第2戦を落とした日ハムは、本拠地に戻って、DH・大谷翔平が使えるようになると、水を得た魚のようにそこから4連勝を飾った。)

 

2. 連敗ストップに成功したチームの詳細

2.1. 2011年中日ドラゴンズ ⇒ 打順入れ替えのみ

第1戦・第2戦・第3戦のスタメン

1. (遊) 荒木

2. (二) 井端

3. (三) 森野

4. (一) ブランコ

5. (捕) 谷繁

6. (左) 和田

7. (右) 平田

8. (中) 大島

 

第4戦のスタメン

1. (遊) 荒木

2. (二) 井端

3. (三) 森野

4. (一) ブランコ

5. (左) 和田

6. (捕) 谷繁

7. (右) 平田

8. (中) 大島

 

第5戦も結果的に同じスタメンでCSを突破。

この年の谷繁は、ポストシーズン43打数ノーヒットという不名誉な記録を樹立してしまうほど、ポストシーズンでは不振だった。

その谷繁の打順を1つ下げたくらいで、基本的に落合監督はスタメンのメンバーを信頼していたといえるだろう。

とはいえ、2011年・2012年は、飛ばないボール全盛期で、CSのスコアも、中日2-1ヤクルト → 中日1-3ヤクルト → 中日1-2ヤクルト → 中日5-1ヤクルト → 中日2-1ヤクルトと、ひたすらにロースコア。打線を大きくいじったところで…という年でもあったように思う。

 
2.2. 2012年読売ジャイアンツ ⇒ スタメン入れ替え

第1戦・第2戦・第3戦のスタメン

1. (中) 長野 → (右) 長野 → (中) 長野

2. (二) 藤村 → (二) 藤村 → (左) 谷

3. (遊) 坂本 → (遊) 坂本 → (遊) 坂本

4. (補) 阿部 → (捕) 阿部 → (捕) 阿部

5. (三) 村田 → (左) 高橋 → (右) 高橋

6. (左) 高橋 → (三) 村田 → (三) 村田

7. (右) 矢野 → (一) 亀井 → (一) ボウカー

8. (一) 亀井 → (中) 松本 → (二) 寺内

 

第4戦のスタメン

1. (右) 長野

2. (中) 松本哲也

3. (遊) 坂本

4. (補) 阿部

5. (左) 高橋由伸

6. (三) 村田

7. (一) ボウカー

8. (二) 古城

 

「よく動く監督」として例示した原監督だが、この年のCSでも積極的にオーダーを組み替えていた。

その中でも、3連敗して王手をかけられた第4戦では、1試合のみスタメン出場していた松本哲也の思い切った2番起用、藤村/寺内で併用していたセカンドに、初スタメンの古城を入れるなど、思い切った組み替えに出た。

結果、2番に入った松本哲也が2四球でチャンスを作り、その後ろの坂本が1打点、阿部が2打点で3-1の勝利。ここから勢いをつけて3連勝で日本シリーズ進出となった。

 

2.3. 2008年西武ライオンズ ⇒ 打順・スタメン入れ替え

第1戦・第2戦のスタメン

1. (二) 片岡

2. (左) 栗山

3. (遊) 中島

4. (指) 後藤

5. (三) 中村

6. (一) 石井義人

7. (中) 佐藤

8. (捕) 細川

9. (右) ボカチカ

 

第3戦のスタメン

1. (二) 片岡

2. (左) 栗山

3. (遊) 中島

4. (指) 後藤

5. (三) 中村

6. (一) 平尾

7. () 佐藤

8. (捕) 細川

9. (中) 赤田

  

第4戦のスタメン

1. (二) 片岡

2. (左) 栗山

3. (遊) 中島

4. (三) 中村

5. (一) 石井義

6. (指) 後藤

7. (右) 大島

8. (捕) 細川

9. (中) 赤田

 

G.G.佐藤やらブラゼルやらが不在ながら、CSを勝ち抜き、日本シリーズも第7戦でモノにした。

唯一の安打は3ランだったものの、12打数1安打だった4番・後藤を一気に6番に下げ、12打数2安打だった中村を4番にあげる。第3戦では、相手先発が左の武田勝だったため、スタメン落ちしていたが、代打含めて8打数4安打だった石井義人を5番・ファーストに吸える。そして、7番・ライトは、フォアボール2個ながら、7打数1安打で、第2戦・第3戦は代打を出されていた佐藤を下げ、大島を起用。

結果的に、4番~7番が一気に変わる変更になった。

第4戦では、新4番・中村が4打数1安打ながら、5番・石井義人が4打数3安打2打点、6番・後藤が4打数2安打と復活。7番・大島も3打数1安打1打点と活躍。

結果的にこの采配が大きく当たり、第5戦も大勝。日本シリーズも、この勢いで突っ切っていった。

 

2.4. 2010年千葉ロッテマリーンズ ⇒ 打順・スタメン入れ替え

第1戦・第2戦のスタメン

1. (遊) 西岡

2. (中) 清田

3. (二) 井口

4. (右) サブロー

5. (三) 今江

6. (指) 今岡

7. (一) 金泰均

8. (左) 大松

9. (捕) 的場

 

第3戦のスタメン

1. (遊) 西岡

2. (三) 今江

3. (二) 井口

4. (右) サブロー

5. (指) 福浦

6. (捕) 里崎

7. (一) 金泰均

8. (左) 大松

9. (中) 清田

 

第4戦のスタメン

1. (遊) 西岡

2. (中) 清田

3. (二) 井口

4. (右) サブロー

5. (三) 今江

6. (指) 今岡

7. (一) 金泰均

8. (左) 大松

9. (捕) 里崎

 

第1戦は3-1の勝利も、第2戦は1得点に終わり敗戦。

第1戦・第2戦ノーヒットだった今江を第3戦で2番にあげ、同じく最初2試合ノーヒットだった的場を下げて里崎をスタメンに据え、最初2試合で6打数1安打の今岡に変えて福浦を指名打者で投入する采配に出た第3戦だったが、結果的に無得点。あっさりと前のオーダーに戻した。

第4戦は、5番に戻った今江、DHでスタメン復帰した今岡が1安打ずつ。2試合目のスタメンとなった里崎は、2個のフォアボールでチャンスを演出した。

結果的には、ずっと固定されていた1番・西岡が2安打、3番・井口が猛打賞。第4戦をモノにした。

負けたらオーダーをいじる、というポリシーを当時の西村監督が持っていたのだろうか。結局、第4戦にこのオーダーで勝つと、第5戦・第6戦もこのまま挑み、結果史上最大の下克上へと続いていった。 

 

2.5. 2014年ソフトバンクホークス ⇒ 打順入れ替え

第1戦~第3戦のスタメン

1. (中) 柳田

2. (遊) 今宮

3. (左) 内川

4. (指) 李大浩

5. (三) 松田

6. (右) 中村

7. (一) 吉村

8. (捕) 細川

9. (二) 明石

 

第4戦のスタメン

1. (中) 柳田

2. (二) 明石

3. (左) 内川

4. () 李大浩

5. (三) 松田

6. (右) 中村

7. () 吉村

8. (捕) 細川

9. (遊) 今宮 

 

 

2014年といえば、オリックスとの最終戦で優勝を決めた、秋山監督最終年だが、基本的にスタメンはほとんど固定。シーズン終盤も、たまーにカニザレスが入るか、打順が少し変わるか、程度だったようだ。

第3戦までで12打数2安打だった2番・今宮を9番に下げ、9打数2安打1四球の明石を2番に。どちらかというと、相手先発が左の吉川から、右の木佐貫になったことが大きいのかも?

さりげなく吉村・李大浩のポジションが指名打者⇔一塁で入れ替わっているが、これはそこまで大きな意図があるのだろうか…?3試合で2四球、2打点とはいえ、10打数2安打だった吉村のリフレッシュだろうか。

いずれにせよ、少し打順を入れ替えた程度のマイナーチェンジだったが、最終的にはなんとかCSを制した。ここ数年の圧倒的なイメージに比べると、意外と最後まで競っていたホークスだったといえるだろう。

 

2.6. 2017年ソフトバンクホークス ⇒ スタメン・打順入れ替え

第1戦・第2戦のスタメン

1. (二) 明石 → (右) 川島

2. (遊) 今宮 → (遊) 今宮

3. (左) 中村 → (左) 中村

4. (一) 内川 → (一) 内川 

5. (指) デスパイネ (2試合とも)

6. (三) 松田 → (三) 松田

7. (右) 川島 → (二) 明石

8. (捕) 甲斐 → (捕) 甲斐

9. (中) 上林 → (中) 上林

 

第3戦のスタメン

1. (遊) 今宮

2. (中) 城所

3. (指) デスパイネ

4. (一) 内川

5. (左) 長谷川

6. (三) 松田

7. (右) 中村

8. (捕) 高谷

9. (二) 本多 

 

柳田が離脱している中で迎えたセカンドステージ開幕だったが、2連敗でのスタート。初戦で負けたときは、1番・7番を入れ替える程度のマイナーチェンジだったが、連敗で余裕がなくなったところで、一気に打順もスタメンも変えてきた。

 

最初2試合で8打数3安打だった今宮を1番にあげ、5打数ノーヒットだった上林に変えて城所をセンターでスタメン。7打数1安打だったデスパイネを3番にあげ、5番には長谷川勇也を入れた。

ライトの川島は、2試合で4打数1安打1四球だったが、最初2試合は塩見・辛島が先発だったところで、右の則本が先発したこともあってか、中村晃がライトに回った。

捕手も甲斐拓也から高谷に、セカンドも6打数0安打だった明石から、本多に変更。

結果的には、4番ファースト内川、6番サード松田以外が変わる大幅な変更。

ただし、これで勢いをつかんだか、ホークスはこのまま3連勝。一気に日本シリーズまで駆け抜けた。

 

3. まとめ (現時点) 

連敗から生き延びて、CSを勝ち抜いたチームのうち、

連敗を受けて大きくスタメンを動かしたのは、

・ 2008年西武

・ 2010年ロッテ (?)

・ 2012年巨人

・ 2017年ソフトバンク

 

打順入れ替え・スタメン1人程度の変更

・2011年中日

・2014年ソフトバンク

 

こうまとめられるだろうか。

もともと動く傾向のあった巨人や、けが人を抱えていた西武・ホークス (2017) など、おそらく様々な事情があって、その場その場で最適だと思う采配をしている、ということだけは断言していいだろう。

 

いろいろ書き出してみたが、辻監督が大幅にメンバーを変えていたら打てただろうか。正直「たら」「れば」だし、ほかの年度を参考にしようとしても、今年の山賊打線に近い例なんてないなぁ、というのも正直感じた。

 

…たぶん本当は、「変えなかったら負けた」「変えたけど負けた」まで考察すると面白いのだろうが、文字数も増えてきたところで、今回はこういう結論にしておこうと思う。