Tommyball

コンセプトは「スポーツ×○○」。スポーツに関連するいろいろなものを書いていきます。

川崎宗則に見るムードメーカーの難しさ

川崎宗則が突然の退団発表をしてからしばらくが経つ。

ふと思い出したが、自律神経系の問題、だったそうだ。

 

明るい人・忙しい人ほど注意すべき、川崎宗則を襲った「自律神経の問題」(VICTORY) - Yahoo!ニュース

 

川崎宗則が、2000年代後半〜2010年代序盤のパ・リーグ遊撃手三銃士として大活躍したのは今更言うまでもないが、彼がその後メジャーリーグで人気を博したのは、紛れもなくそのキャラクターのおかげでもある。

 

ヒーローインタビューでの「マイ ネーム イズ ムネノリ カワサキ。アイ アム ジャパニーーーーーズ!!」という絶叫でトロントのファンの心をつかみ、そこからは、底抜けなく明るいキャラクターで、現地のファンからは今なお愛される存在だ。

 

いや本当だ。

マイナー降格しただけで"We'll miss you"という記事が出たり。

We'll Miss You Munenori Kawasaki - Bluebird Banter

 

しまいには「川崎宗則をオールスターに!」という動きが出てきたりもした。

Release: Munenori Kawasaki Write-In Campaign Launched - Bluebird Banter

 

そんなわけだから、彼の退団は (引退という少し早とちりがあったものの、) 海を越えてトロントの現地ブログでも取り上げられたりした。

Munenori Kawasaki announces his retirement - Bluebird Banter

 

記事には、「こんなに愛された控え選手がいるだろうか」、「ホセ・バティスタよりもチームリーダーといえる活躍だった…というと言い過ぎかもしれないが、強くはなかったブルージェイズで、間違いなく見にいく価値のある選手だった」などと書かれている。

 

実際、現地のブログをひとつ遡るだけでも、川崎のエピソードは事欠かないはずだ。

 

決して流暢ではなかった当時の英語力でも、アメリカ人、カナダ人の心を鷲掴みにしただけに、「自律神経系の問題」での退団は、大きなショックとして受け入れられた。

 

とはいえ、とてつもないプレッシャーと戦うアスリートたちには、決して遠い話じゃないようだ。

 

最初の記事でも、下の方には、こうある。

選手のキャラクターとの関係にも要注意。川崎選手のようにいつも明るく振る舞う選手、そしてキャプテンなど真面目で責任感のあるタイプの選手は特に注意が必要です。こういった選手は自分を抑え、「期待される役割」を演じている可能性があり、その行動が知らず知らずのうちに自分にストレスをかけていることがあります。

 

その後、川崎も、普段のキャラクターからは想像もつかないような繊細な性格だという証言が続く。

 

個人的にも、ムードメーカーとまではいかなくとも、明るく振舞ってきたが、そこからは想像もつかないくらいネガティブな気分になることがある。

と、いうか、基本的には常にネガティブだ。「嫌なこととかなさそうだよね」とか、「楽しそうだよね」と言われるときに限って、裏では辛かったり、楽しくないことばかりだったりする。

 

ただの末端会社員でもこう思うことがあるわけだ。

億単位のお金をもらい、1つのプレーが結果を大きく左右する、そんなプロスポーツで戦うアスリートにかかるストレスは、とてつもないものだろう。

 

「あのときこうしていれば」

「あの打席でこの球を待っていれば」

「あのとき数センチ左に守ってたら」

 

…こんなことを考えたりするのだろうか。そしたら良いて考えだすと負のスパイラルに落ちてしまうのか。

 

アスリートだけじゃなく、カメラの前では明るく振舞っているお笑い芸人にも、舞台から離れると繊細だったり、おとなしかったりと、似たような性格の人が多いという。

 

「ネタのチョイスが悪かったのだろうか」

「あのボケが受けなかったのはなんでだろう」

「ワードチョイスが悪かったのか」

 

たとえばこんなことを考えるのだろうか。

 

もしかしたら、杉谷拳士も、熊代聖人も、裏では悩んでいるのかもしれない。

それでも、彼らはグラウンドに出れば、舞台に立てば、明るい「期待される自分」を演じなければいけない。

誰よりも声を出し、輪の中心で仲間を盛り上げないといけない。

 

トロントでの愛され方や、福岡での人気を考えれば、

「頑張れ川崎」

「ムネリン戻ってきて」

そう言いたくもなる。

でも、そういうのは、明るい川崎宗則を本人に押し付けているようで、ちょっと傲慢な気もする。

 

組織とは、難しいものである。