Tommyball

コンセプトは「スポーツ×○○」。スポーツに関連するいろいろなものを書いていきます。

本当にサッカーはメンタリティだけで片付けられるのか

正直、サッカーの戦術には全く長けていないし、おそらくこれからも「コアなファン」の域に達せる自信はない。

 

それでも、気になることは気になるので書いておきたい。

昨日はあまり書く気が起きなかったのだが、チェルシーはアウェイでのアーセナル戦、0-2の敗戦。今シーズン完封が3回しかなかったアーセナルに、4度目の完封を献上する羽目になった。

 

試合を少し見ても、チェルシーは序盤からミスが目立ち、得点機を相手に与えていた。

幸いにもアーセナル選手のシュートが枠を外れたり、ケパが止めたりで事なきを得ていたが、そこから立て直しつつあった開始13分、ショートコーナーからラカゼットへの巧みなパス。そのまま先制ゴールを決められた。

その後はチェルシーもチャンスを作るもシュートはことごとく枠を外す。その一方でアーセナルは、ケパの正面に行ったシュートもあったが、勢いそのままに、またセットプレーから得点。

その後マルコス・アロンソがヘディングで得点…かと思いきやポスト直撃なんてこともあった。なんともいえないが、勢いの差を痛感させられたシーンでもあった。

 

結局、チェルシーはこのまま打開できず、0-2にて終戦となった。

 

試合後のサッリ監督の記者会見は、英語ではなく、通訳を介してのイタリア語。

意図としては「選手たちにメッセージを伝えなければいけない場だ、そしてそのメッセージに、(母国語ではない) 英語を喋るがゆえのミスがあってはいけない」ということだったが、その中で出たのは、「この敗戦は受け入れられない。メンタリティの問題」「この集団はモチベーションを上げるのが大変に難しい集団だ」と、下手したらチームの和を乱しかねない発言。

 

現地ブログでも、「選手たちのモチベーションの問題というのは長年問題であり続けた」と書かれていたし、来年いないかもしれない監督のために、怪我のリスクを冒してまで死力を尽くして戦う…というのもなかなかできるものではないと推測できる。これはチェルシーが監督をコロコロ変える体質ゆえなのかもしれないが…

 

とはいえ、それだけなのか、という疑問である。

 

確かに序盤はチェルシーのミスも目立ったし、肩に当たったボールがゴールになるアーセナルと、きちんと当てたヘディングがポストに当たるチェルシーの、チームの勢いの差、運動量の差。この辺は「トップ4に残るためには絶対に負けられない」アーセナルと、「負けてもまだ一応4位」のチェルシーで明確に差はあったと思う。

 

とはいえ…なのだ。

セットプレーから直接クロスを入れるのではなく、クロスからヘディングでチームメイトに回すなど、ワンクッション挟んでゴールする、なんてのはチェルシーでもやったことがあるプレーだし、もしかしたらこう来るかも…という読みができなかったのだろうか、と考えてしまう。

また、序盤のミス連発は、パスを出した相手が自分の意図と違う動きをしていた、というパターンが多かったように見えた。メンタルだけではない、戦術そのものの問題や、細かなプレーのレベルまで戦術が浸透していないのでは、といった点が気になるのである。

 

戦術的な話で言えば、4-3-3でアンカーを抑えやすいフォーメーションというのがどうしても存在するのではないかと思ってしまう。

 

ジョルジーニョを抑えればいい、というのはもう多くのチームに見えている情報だろう。事実、今日もジョルジーニョが抑えられたことにより前半は組み立てに苦戦した印象がある。ラムジーのマンマークで、ジョルジーニョを消したのは見事なものだった。

当然、ジョルジーニョ自身もポジションを入れ替えたりして攻撃に絡もうとはしているし、ジョルジーニョに相手がついた結果ダビド・ルイスがロングフィードを入れる機会が生まれて…というのもあるにはあるのだが、そこだけでは打開できなかった、ジョルジーニョが封じられた時の対策を、個人技以外に未だに持てていないのが今日のチェルシーだろう。

 

アザールの偽9番も、マンチェスター・シティ戦のための劇薬かと思ったら、これで8試合やっているのだそうだ。あまり攻撃が改善したかというと、そうでもない気がする。

 

アーセナル戦は、相手の、攻守に抜け目のない戦術と、それを支える運動量にやられた気もするし、高い運動量はこの試合への覚悟の表れ、それこそがメンタリティの差だ、と言われたらその通りだと思う。

 

とはいえ、これまでの通り、メンタルの前に、戦術面で負けていた箇所もあるのではないか。セットプレー時の守備など、もう少しうまくやることができたのではないだろうか。

4-3-3にこだわり続けたチェルシーと、フォーメーションレベルで引き出しの多かったアーセナルの差もあるように思う。

 

メンタリティの一言で片付ける前に、戦術も多少見ておかないといけないのではないんじゃないだろうか。

いまだに見えてこない、ジョルジーニョが消された時の対処策や、アザールの偽9番で打開できなかった時の策。

攻撃的なはずのサッリ・ボールで、いまだに見えてこない攻撃の引き出しの深さが、気になって仕方ない。

 

 

2年前、コンテ監督も、エミレーツ・スタジアムでの大敗後に「最初の1分から、試合に対する態度で負けていた」「このチームは紙面上ではいいチームだが、ピッチの上ではそうでもない」と、選手たちを強く批判した。

 

しかし、それは単なる選手批判ではなく、戦術的な大手術をする最初の一歩でもあった。

 

その後コンテ監督は、ご存知の通り3バックを導入。

3-4-3でリーグ戦13連勝を飾るなど、一気にリーグ優勝まで突き抜けた。

当然その後はディエゴ・コスタや、ダビド・ルイスらとの衝突もあり、2年目で去ることになったが、あの記者会見での選手への叱咤激励という劇薬は、効果があったといって差し支えないだろう。

 

当然、今回も単なるチーム批判に終わってはいけない。

サッリ監督はどのような大ナタを用意しているのだろうか。

 

開幕直後、チェルシーのサッカーを見るのは、それだけで楽しかった。

ジョルジーニョを中心に、ぽんぽんと回るパス、最後尾から時折入る切れ味鋭い縦パス、そしてアザールらの個人技。

攻守の切り替えも含めて、全てが見応えのあるものだった。

 

今は苦境かもしれないが、この状況を打破できれば、また新しいチェルシーのサッカーが見えてくるはず。

蘇れ、サッリ・ボール…というと語弊があるかもしれないが、あの素晴らしいサッカーをもう一度、今度はコンスタントにできたら、きっとそれは揺るぎなく強いチェルシーの姿なのだろう。